ハイジュエリーの魅力は、天然石をたくさん使うこと。ダイヤモンドのようにキラキラ輝くものばかりではないけれど、それぞれの石に個性があって、その美しさは時間が経っても変わらない。本物ならではのよさがあると感じています。実は私はデザインを考えるのが苦手で(笑)、石の色から決めることが多いんです。この色のこの石を使いたいからモチーフを探そう!というように。印象に残っている課題は、大好きな青い石を使ったブーケブローチ。制作には苦労しましたが、私がイメージするハイジュエリーらしい仕上がりになったので満足しています。
2年次、3年次と2回の技能五輪に出場したのは、自分の技術力を上げるため。「制作者になりたい」という思いを実現するためには、今の知識や技術だけでは足りないと思ったんです。実際、時間をかけて仲間と共に訓練を重ねたことで、作業のスピードや精度が格段に上がったと実感しています。おかげで念願の制作職で内定もいただきました。緊張の中で作業する技能五輪の経験があったから、採用の実技試験では全く緊張しなかったほど。これからも技術を磨いて、「この人と仕事をしたい」と思ってもらえるようなプロフェッショナルを目指したいです。
高校時代は「磨く」ことが好きで。自分の手で金属を磨いてピカピカの輝きを生み出せることに魅力を感じて、次は宝石の研磨を学ぼうとヒコに入学しました。でもヒコに入って、次第に「磨く」よりも「作る」ことに楽しさを見いだすようになりました。ワックスから形を削り出す造形の作業がとても面白くて。ジュエリーに関わる喜びも感じています。はるか古代から人間が作り、装身具として身につけてきたジュエリーに、制作者として携われるなんて、すごいロマンじゃないですか。
印象に残っているのは、国際宝飾展出展の課題として企業と連携して作った作品。仕上がりはもちろんですが、試したことのなかった技法をいろいろ取り入れてすごく勉強になったという意味で心に残っています。自分自身、技法への探求心が強くて、何か見ると「どうやって作るんだろう」と知りたくなるし、新しい技法を学ぶと試してみたくなる。そういう知識欲がすごいです。休日には、自分の好きなデザインで好きなものを作るのが楽しみ。友人からのオーダーなども受けながら自主制作をしています。ゆくゆくは作家として、オリジナルブランドのジュエリーを世に出すことができたらうれしいですね。
ヒコに入学して一番衝撃を受けたのが、1年生の時にみた3年生のアクセサリーショー。
それまでジュエリーはただキレイなもの、美しいものというイメージでしたが、ショーで見たアクセサリーは本当に初めて見るようなものばかりで、「何をやってもいいんだ!」という自由とワクワク感を感じたのを覚えています。
3年生になり、自分たちが主役になった年のアクセサリーショーは、コロナの影響で開催自粛。ショーに憧れていたので悔しい思いもありましたが、改めてどんな表現方法があるかを考え、ショーの代わりにプロモーションビデオを撮影して上映会を開きました。「SDGs」というテーマのもと、私は「食べ物のお葬式」をイメージした作品でフードロスを表現しました。「どう見せるか」を悩み抜いたことをきっかけに、ジュエリーに対する考え方も形づくられたと思います。ジュエリーが絵画などのアートと違うのは、身につけるものだということ。私が作りたいのは、負担なく、安心して長く身につけられるものなんだと。だから今は「軽さ」と「金属アレルギーを起こしにくい素材」にこだわっています。人が身につけてこそ輝くジュエリーを、今後も作っていきたいです。
テーラーをしていた母の影響もあり、私もモノづくりやデザインすることが好きだったんです。なのてで日本に留学してやりたいことは何かと考えたとき、浮かんだのがジュエリーデザインでした。
今はジュエリー作りの楽しさを日々実感しています。これまでの集大成ともいえるのが、今年の産学協同課題でつくったペンダント。「エモーション」というテーマから、私は「自己愛」をコンセプトにデザインを考えました。周りを見ていると、自分に自信がない人が多い。コロナもあって、のびのびと自分のキレイを表現できないような空気も感じていました。だから、「もっと自分に自信をもって!」というメッセージを込めて、雲の間から太陽が顔を出すデザインを考えたんです。つくりの面でも、七宝やフィリグリーなど、好きな技法をこれでもかと盛り込みました。だから、展示作品に選ばれたことよりも、自分がこれを作り上げられたことのほうがうれしかったかもしれません。今後は大きな〝作品〟ではなくて、自分が普段使いできて家族や友人にもプレゼントできるような、身近なものを作りたいですね。卒業後は日本で働いて、いつか遠い未来、ベトナムで自分のブランドやショップを持てたら…と思っています。
スポーツショップでアルバイトをしていたとき、自分の勧めた靴をすごく気に入ってくださったお客様に出会ったんです。「デザインもいいし履きやすいから、履いて出かけたくなっちゃうんだ」って。そう思ってもらえるような靴を作りたい!と思ったのが靴作りを学ぶきっかけでした。
学ぶうちに、自分は制作よりも企画やデザインをするほうが向いていると気づきました。進むべき道を決定づけてくれたのは、2つの作品。1つめは自主制作してYKKのコンペに出した作品。自分が作りたいものは「アート」なのか「デザイン」なのかで悩んだんです。靴を通して自己表現したいのか、それとも誰かの感情を動かしたいのか。そして2つめは企業コラボ課題で、ターゲットの要望を掘り下げて納得いくものが作れたとき、自分がやりたいのは「デザイン」なんだとわかりました。ただカッコいいだけじゃなくて、「履きたい!」「履いて何かをしたい!」といった感動やモチベーションをかき立てるような靴をデザインしたい。自分の中でやりたいことが明確に見えたので、就職活動も迷いなくできました。春からはスニーカーのデザイン職として働きます。誰かの生活に深く関わる、誰かに感動を与えられるような靴を生み出していきたいですね。
その日のファッションは靴から決めるほど、靴が好き。服飾系の高校に通っていたこともあり、次は靴作りを学びたいと思ってヒコに入学しました。1年生のうちは、まだ技術に自信がなかったので、「自分でも作れそうな」無難なデザインのものばかり作っていましたが、できることが増えてくるにつれ、デザインの幅も広がりました。最近は自分が本当に作りたいものをデザインしています。大好きなのはヒールの高い靴。バランスをとるのが難しいし、足への負担も考えなければならないので大変ですが、ヒールのある靴はファッション全体を底上げしてくれると思っているので。
印象に残っているのは、初めての企業コラボ課題。しかも初めての販売用の商品制作。自分が作りたいものではなく、誰かに「欲しい」と言ってもらうデザインを考えるために、友人の意見も聞きました。制作するときも、履いたときに糸がほつれないか気を配るなど、長く履いてもらえることを考えて丁寧に。買っていただいた先輩から「ぱっと見てオシャレでカワイイと思った」と言っていただけたときは感動しました!
将来の目標はデザイナー。自分のデザインした靴を誰かに喜んで履いてもらえたらうれしいです。
サコッシュが欲しいけれど、安くていいものがなかなかない。いっそ自分で作ろうかな?……というのが、僕とバッグ作りとの出会い。それから趣味としてハマって、本格的に学びたくなって上京し、ヒコに入学しました。学ぶうちに、いろんな変化がありました。自分は作るよりもアイデアを出すほうが好きなんだと気づいたり、自分の「型」というか好みが固まっていったり。今はファッションではヴィンテージの古着、なかでもヨーロッパ系のものが好きです。バッグ作りでも、アンティークっぽい風合いを出したり、シンプルなパーツを組み合わせたりして「一点もの」らしい存在感にこだわっています。作り手側としてのバッグの魅力は、デザインできるキャンバスが広いこと。靴や服には決まったサイズがあるけれど、バッグは用途に応じてサイズからデザインできる。2wayなど使い方や組み合わせでさまざまな工夫・提案ができる。それが面白いところかなと思います。
卒業後は、好きなブランドで販売の仕事をしながら、自分のバッグ作りも続けていきます。僕の作るものをいいなと思ってくれる人に販売して、ファンを増やしていく。そんなふうに、ずっとバッグに関わっていきたいと思っています。
ヒコに入って驚いたのは、先生との距離が近いこと。そして先生たちが学生と対等に話してくれることでした。「僕はこう思うけど、考えて決めるのは君だよ」というスタンスの指導は、受け身の授業に慣れていた私には新鮮でしたね。
初めはとにかく手を動かすほうが好きで、デザインは二の次。正直、どう考えていいかわからなかったんです。でも2年のデザイン課題で、考えるのに必要な要素を学び、「デザインはロジカルに考えられるんだ!」と気づいてからは、デザインすることが好きになりました。もともと3年で卒業する予定だった私がインスティチュートコースに進んだきっかけの1つは、企業とのコラボ課題でクラスで 一番の評価を受けたこと。そしてもう1つのきっかけは、デザイナーアシスタントのアルバイトを受けた時、業務のチャレンジ企画で描いた私のデザインが商品化されたんです! 学外の方からの評価で自信がつき、これはチャンスだと思ってもう1年学ぶことを選択をしました。
インスティチュートコースでの1年間で、商品を作る前の段階に興味を持つようになり、春からはメーカーでマーケティングの仕事に就きます。実際の現場でもどんどん学んでいきたいと思っています。
小さい頃の私は、あまり傘を持ち歩かなくて。
雨が降ると、家々の軒先を伝って雨宿りをしながら帰っていました。
屋根から滴る雨粒と、立ち込める雨のにおい。そんな古い記憶の中の情景を残したいと考え、雨をモチーフにしたネックレスを作りました。
卒業制作に取り掛かる際、学校生活を振り返ると、最も記憶にあるのは技能五輪への2度の出場。この挑戦を通して技術はもちろんですが、メンタル面が鍛えられたと思います。
厳しい指摘を受けても落ち込まずに前に進む。失敗しても焦らず、努力してきた自分を信じて冷静に対処する。
そんなふうに訓練を積み重ねた結果、2回目の大会では金賞をいただくことができて、とてもうれしかったですね。
卒業制作であるこの作品には、技能五輪もこれまでの課題も、ヒコでの私の経験がすべて生かされている。かつ、新しい技術も取り入れた、挑戦でもあります。
3年間の私を全部詰め込んだ、世界で1つの作品になったと思います。
このリングは、まったくの初心者だった私がはじめて納得のいくものになった記念的な作品。2年生の最後の課題で、「難しそう」「できるかな」と不安だらけだったので、ちゃんと完成させられたことがうれしくて。
それまで親に作品を見せたことはなかったけれど、このリングは持ち帰って見せました。「すごいね!」と褒めてもらえて、やっと見せられるものが作れたなぁとしみじみ。
社会人を経験して入学したので、仕事につながる技術を身につけたいという気持ちは人一倍強いと思います。1つひとつの課題も納得いかないものは提出せずに、何度も作り直していたほど。もっともっと、という思いで取り組んできました。
だから、このリングは、今の私の集大成。
もちろん、まだまだ伸びしろはあると思うし、いつか自分自身で「完璧!」といえる作品を作りたい。でも、今の私にとっては大満足のリングです。これが今の私にとっての100点満点。
僕が一番気に入っているのは、シルバーで作ったスニーカーモチーフのペンダント。
一目で心を奪われたスニーカーを形に残したくて、忠実に作りました。
細部にまでこだわったので大変でしたが、隣のクラスの友達からも「カッコいいじゃん!と褒められてうれしかったですね。
モチーフにしたスニーカーはもったいなくて、月に1度くらいしか履いてないんですが、実はペンダントも家に大切に飾っています(笑)。
自分が作りたいものを作れるようになった記念として大事にしたいと思っています。
入学してから1年が経ちましたが、改めてジュエリーの魅力を感じています。
この間、学校内にあるギャラリーで3年生の七宝作品を見て衝撃を受けました。
キラキラ輝いていて、こんなにキレイなものがあるんだ!と。
いつか自分でも先輩たちのように作れたらいいなと思っているので、これからその技術を学べるのがすごく楽しみです。